ホーム > 文化・スポーツ・観光 > 歴史 > メールマガジン「あおもり歴史トリビア」 > 「あおもり歴史トリビア」第44号(2013年2月8日配信)
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更新日:2015年6月1日
立春は過ぎたものの外の景色に一喜一憂しているこの頃、季節のせめぎあいはまだまだ続きそうですが、枯木の枝先の紅色は日々濃さを増し、着実に春に向かっているのが感じられます。
そんな中、国際芸術センター青森では、2月10日から3月17日まで、青森市所蔵資料(旧稽古館資料)とアーティスト呉夏枝(オ ハジ)さんの作品を展示する企画展「針々(しんしん)と、たんたんと」が開催されます。
企画展『針々と、たんたんと』
織る、染める、結ぶ、刺繍するといった手法を用いて作品を制作する呉夏枝さんは、女性たちや無名の人々の、語られなかった歴史や時間を浮き彫りにする作品を生み出しているそうです。
この企画展では、青森市所蔵資料として、麻織物にこぎん刺しや菱刺しが施されたさしこ着類を主に、肌着や蚊帳なども展示されます。
青森市収蔵品 さしこ着
藍の麻布に木綿糸や毛糸をほどこした「さしこ」というと、華やかで美しい模様の衣を思い浮かべると思います。今回の企画展ではそれらの資料にとどまらず、年を重ね、しみや汚れが目立ってきたため、二重刺し(ボド刺し)や染めこぎん(ズブ染め)にした着物、使い込んだ菱刺し前かけやたっつけ(股引)などが、日々の労働と時間の経過を印した仕事着として展示されます。
これらの資料は毎日の厳しい作業を繰り返して、擦り切れ、破れた跡があり、見るものに迫ってくるものがあります。そして家族のことを想いながら「つぎ」を当て、繕っている女性の姿が重なって浮かび上がって来ます。
青森市収蔵品 蚊帳
また、これまでは展示資料としてはなかなか選ばれなかった、肌着や蚊帳といった日常に本当に身近な、そしてもっとも大事な衣類等は、丹精込めた手作りで、ほとんどが麻でできています。麻は長く着古すことで肌になじみ、動きやすくなり、また水をよくはじくので「汗ハジキ」とも呼ばれていたそうです。
この企画展の青森市所蔵資料一群は、芸術性にのみ焦点を当てていてはこぼれ落ちてしまう様々な情報が溢れています。
これらの資料と呉夏枝さんの作品がどのように連動してゆくのか、とても楽しみです。
呉夏枝さんの作品 《花斑》
企画展のタイトル「針々と、たんたんと」は、雪がしんしんと降る情景の中で淡々と、しかも力強く生き抜く雪国の女性たちをイメージすることができます。
この企画展初日の2月10日には呉夏枝さんらが出席するオープニングトークやギャラリーツアーも行われますので、雪の中の芸術センターの建築物を見学しながらでも、どうぞご参加ください。
ギャラリートークのようす
国際芸術センター青森の冬景色
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