ホーム > 文化・スポーツ・観光 > 歴史 > メールマガジン「あおもり歴史トリビア」 > 「あおもり歴史トリビア」第28号(2012年10月12日配信)
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更新日:2015年6月1日
急に秋冷の候となり、温かい衣が恋しい季節となりました。
さて、今回はその温かい衣であり、「布の再利用」としても注目を集める「裂織(さきおり)」のお話をしたいと思います。「裂織」と言えば「南部裂織」を思い浮かべるかたが多いのではないでしょうか。しかし、それ以前に津軽地方には「津軽裂織」というものがありました。はてとお思いでしょうか。津軽の庶民衣となると「津軽こぎん刺し」が一般的には知られていますが、津軽にも「サグリ」といわれ、紺色が基調の仕事着として使用された裂織があったのです。
平成15年当時の三厩の漁港風景(サグリは主に漁師の仕事着として使われた)
津軽地方では、藩制時代から北前船によって手に入れた木綿を使って、「サグリ」が作られていました。この裂織は生地が厚くしっかり織られているため、風や水に強く、丈夫で保温性に優れていました。その特性から主に漁師の仕事着として、明治から大正にかけて津軽半島や下北半島の沿岸部で使われました。
サグリ(ぶっつけ)
サグリ(ぬきがため)
この「サグリ」の特徴は、よこ糸として木綿布を織り込むやりかたに独自のものを見ることができることです。「サグリ」の布の利用の仕方は、手では裂けないような大小様々な半端布を和バサミで1分(3ミリ)位に鋏(はさ)んだ状態で織り込むというものです。この半端布は、反物や古着のような上等なものでなく、もっと状態のよくないものでした。その半端布が、一見、ビロード状にみえる見事な布に織り上げられているのです。一枚の布さえ手に入れることができなかった人々が、半端布を使って、まるで反物から着物を作ったように工夫した技を駆使しているのです。
サグリの表と裏の糸目
木綿には温かさ、柔らかさがあります。それが擦り切れ弱くなっても、新たな形と美しさを求め、作り出したのが裂織です。
肩あてに手拭を使用したサグリ
その実物資料が明日から青森市民ホールで展示されます。青森市教育委員会主催のストリート・ミニ・ミュージアム「裂織―サグリとコタツがけ―」展で、期間は10月13日(土曜日)から19日(金曜日)までです。またとない機会ですので、どうぞご覧になってください。
また、11月7日(水曜日)には青森市史編さん室と青森市男女共同参画プラザ「カダール」との共催「青森・温故知新塾」で「『裂織』~仕事着(サグリ)」について、その変遷や、なぜ紺色が基調であったのかなどを解く講座を「カダール」研修室にて午後6時30分から8時30分まで行いますので、そちらの参加もよろしくお願いいたします。
南部裂織のコタツがけ
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