ホーム > 文化・スポーツ・観光 > 歴史 > メールマガジン「あおもり歴史トリビア」 > 「あおもり歴史トリビア」第96号(2014年2月21日配信)
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更新日:2015年6月1日
立春過ぎの余寒が雪を呼んでいるのでしょうか、全国各地に降った想像を超える大雪に驚嘆しているこの頃です。
さて、先日の『広報あおもり』に八甲田の樹氷ツアーの案内が掲載されていました。樹氷は冬の雪山ではどこでも見られるものと思っていましたが、実は一定の条件を満たした場所にしか樹氷はできないようです。では、その条件とは何でしょう。
まずひとつめは、樹氷のできる木は“青森市の木”に制定されているアオモリトドマツだということです。アオモリトドマツは葉の密度が高く、樹皮がギザギザしているため、ほかの樹木より氷や雪がつきやすいのです。そして冬の日本海の水分を含んだ湿った季節風が吹きつけること。この二つの条件がそろうと樹氷が生まれます。
アオモリトドマツ
八甲田ロープウェイ山頂駅
山頂駅付近の樹氷群
スノーモンスターとも呼ばれる樹氷
ではその条件がそろうと、どのようにしてできるのでしょう。大気中で気温が0度以上の時にできた水滴は、気温が徐々に低下して、氷点下に下がっても水滴のまま存在することができます。これを過冷却水滴というそうですが、これは非常に不安定で、ほかの物体に触れると瞬時に凝結して固体になります。樹氷は日本海から運ばれてきた過冷却水滴がアオモリトドマツの樹皮に付着し、凍りついたものです。小さな過冷却水滴が氷結して次々に風上に成長してゆくため、ささくれ立った表面となり、その形から「エビの尻尾」と言われています。また3メートルにもなる純白のオブジェはスノーモンスター、アイスモンスターなどと呼ばれています。そして、樹氷はアオモリトドマツにとって、寒さから身を守ってくれる分厚いコートの役割も果たしているようです。
田茂萢(たもやち)岳頂上から樹氷を眺望する
山頂駅の手すり柵に付着した「エビの尻尾」
また、樹氷ができやすい気象条件は、『新青森市史』別編4自然によると気温がマイナス5度からマイナス13度、風速毎秒8メートル以下であるため、暖地の山岳は気温が高すぎ、寒地の山岳は気温が低すぎて、樹氷が成長しにくいそうです。八甲田をはじめ東北地方の山々は寒さに強いアオモリトドマツが自生していることと、気温の変動範囲が適当であるため、樹氷には最適な環境であるといえるようです。
青森市街からいつも眺められる八甲田にあって、いくつもの条件をクリアして存在している樹氷は青森市民の貴重な財産といえます。樹氷ツアーにもぜひ、参加したいものですね。
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