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更新日:2024年11月1日
市民力+民間力で便利で快適な暮らしを実現する「DX先進都市 青森市」を目指す西市長に、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」にかける想いを聞きました。
青森市スマートシティ推進監(外部アドバイザー) |
私が市政を運営するにあたって真っ先に取り組みたかったのが、これから仕事づくりを考えるということで、「青森市しごと創造会議」を立ち上げました。
これからの時代、人口は減っていく、高齢化する、少子化も進む、そのような中でも生産性や収益性の高い仕事であれば、地域をしっかりと回していくことができます。その時に、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は大きなテーマで、今後期待される産業分野だと考えていました。それから、「洋上風力発電」は、これから日本国内で進んでいくことが予想され、青森は風況がいい地域と言われているので、この分野も重要なテーマと考えていました。それらを軸にして、「青森市しごと創造会議」で検討していこうということで進めています。
公共交通のDXを例にすると、人口減少とともに利用者が減ってきているので、その最適化が必要になってきますが、「AIデマンド交通」などのデジタルの力を使えば、やっていけるはずだと考えています。あとは、地場の中小企業のDXも比較的遅れているところが多く、どこから手を付けていいかよくわからないという企業も多いので、そういうのも進めていきたいと考えてまして、ようやく実現できる目途が立ってきたという状況にあります。
また、私は昔から市役所に出入りをする機会が多かったのですが、執務室は書類の山で、まさに昭和の事務所と感じていたので、市役所のDXも進めています。
これらの大きなキーワードが、「スマートシティ」になっていくと思っていて、様々なところでデジタル技術を使うことで、今まで得られなかったデータが得られ、今までつかめなかった傾向がつかめることになりますので、それを更に応用していけば、もっと便利な社会が実現できるはずだと、そこまで踏み込んでいきたいと考えています。
企業のDXは、まださほど進んでいない状況がありますが、これから市の方で伴走型の支援までやりたいと思っています。それによって地元の企業の中でもDXというのが進んでくるんじゃないかと考えています。
その他の公約に関しては、ほぼ着手済みです。今年の4月からAIデマンド交通の実証を始めていますし、10月から書かない窓口のサービスも始めます。書かない窓口から段階的に、待たない窓口、最終形が行かない窓口までやっていきたいと思っています。
スマートフォン(以下「スマホ」)の普及率は上がってきており、今は高齢者のかたでも普通にスマホを使っている光景はよく見ますし、世の中の流れでガラケー(ガラパゴス携帯)も近い将来なくなっていきます。
その中で、「デジタルデバイド」を解消していくためには、やはりスマホを利用することによって、なにか得をするみたいな、そういうプレミアム感みたいなものを感じていただけるようなサービスができればいいのかなと思っています。
実際に、今年からAIデマンド交通を始めていますが、スマホの使い方がわからない、電話で予約するのが大変など、まだ利用していただいていない人が相当数いる中で、コミュニティバスを運行していた時と比較しても利用者が増加しています。今後、スマホなどがもっと普及していけば、もっと多くの人に利用していただける可能性があると思いますので、そこは大いに期待しています。
最終的な目的は、「便利な暮らしをできるようにする」ということだと思っています。そのためには、やっぱりいい街があって、いい仕事があって、いい人材がいて、その人材を育てる場所があって、そういうのが整っていけば、どんどん暮らしやすい街になっていきます。
あとは、移動の手段ですとか、いわゆる都市のインフラが整っていけば、そこはいい街になっていく。その辺が全部絡み合って、一緒になって、スパイラルアップしていくでしょうから、それをよりスピーディーに、よりハイクオリティーにしていきたい。
その実現を可能とするのが、デジタル技術だと思っていますし、そこにまだまだ人の方が感覚的に追いついていってないという分野もたくさんありますから、そういうところをDXしていくことで、「あ、こんな便利なんだ」って気づいてもらえるようなそんなことを一つ一つやっていきたいと思っています。
市民意見をうまく聞いて取り入れたい場合、市民ワークショップを開いています。市民ワークショップを開いて、皆さんにまず情報提供します。情報を共有化して、皆さんの情報レベルを同じくらいの高さに揃えていただいて、そこから皆さんの意見をワークショップで出してもらうということを心掛けています。
従来の行政のパブリックコメントでは、市民と一緒に考えようというモデルではなかったと思いますし、町会連合会単位で実施している「あおもり未来ミーティング」は、地域に密着した課題を気づかせてくれる機会になっていますが、それだけではなくて、未来志向でこれからこの街をどうしていきましょう、公共交通をどうしていきましょうみたいな、もう少し大きなテーマで考えていくことも必要だと思っています。
また、会議形式は、有識者の方々や声の大きな人の意見が通りやすかったりしますが、ワークショップ形式は、話し合うよりも、むしろ聞き合うといった対話を大事にすることで、建設的な議論や、より良い最大公約数的な方向性を見出すことが出来るんじゃないかと思っています。
個人的に関心が高いのは、やっぱり「まちづくり」です。「まちづくり」は、いろんな要素が絡みますから、何分野とは言えないことではあるんですけども、ただ街に必要な要素って本当にたくさんあって、例えば病院が必要だとか、教育機関が必要だとか、水道ガスが必要だとか、それがバランスよく配置されて初めて使いやすい街になっていくということだと思いますが、市民一人一人、自分が望む街の姿ってたぶん違うんだと思います。これをみんなで意見を出し合って、こういう街だったらいいよねっていう方向性を定められれば、すごく誰もが納得感のあるまちづくりを進められると思っています。
大都市であればどこかの企業が急に動き出し、大きなことをやったりとかしますけど、地方にいるとなかなかそういうことは起きない。私が市長になる前から心掛けていたことは、誰かが何かをしてくれるって待ち続けても何も起きないので、自分が動けることは動いたほうがいいし、市民一人一人が動くのが理想だと思っています。この街を良くするために、ちょっとだけど自分の力を貸したって。それが自分自身の誇りにも繋がって、この街が良くなったのは自分が手伝ったからだよって。それがまさに「シビックプライド」に繋がるんだと思います。私は、「シビックプライド」を市民一人一人に持ってもらいたいという気持ちで、以前からいろんな活動をしてきていますが、街のために力を貸してくれる人たちが、少しだけでも参画できる、そんな環境を提供したいと思っています。例えば、近所の雪の状況をカメラで撮影して市民の皆さんから情報を集めるサービスなどもやっていますが、デジタルの力を使うと出来ることはたくさんあると思っています。
私は、市政を運営するにあたって、「仕事をつくる」、「人をまもり・そだてる」、「まちをデザインする」の3つを公約に掲げています。これは、国が示している、まち・ひと・しごと創生と全く同じなんですけども、やっぱりこの3つを同時に回していけばいい街になるでしょうし、そのもとになるのは、市民一人一人が「シビックプライド」を持って、この街で暮らしていくということだと思っています。それがあれば、仕事を創り出すための原動力になるでしょうし、きれいな街、便利な街をつくるための原動力にもなると思っています。その上で、人を育てていく、人を守っていくというのが、やっぱりこの街にとってすごく重要で、それは行政だけができることではなく、市民の皆さん一人一人の力を合わせて、民間の企業や団体の力も合わせて、それに行政の力が一緒になって、この街全体を良くしていこうっていうことになっていきます。
具体的に何かをやろうとしていた時には、やはりデジタルというのは、すごく重要なものだと思います。さっきも言いましたけど、雪の例でも、我々がなかなか気づかないところの情報が簡単に手に入りますし、それがイコール便利な街をつくるってことにもなっていきます。それから、書かない窓口、行かない窓口みたいに行政サービスの質や利便性も上がると、それがイコール住民の生活、暮らしの向上にもつながっていきます。
こういうのって、まち・ひと・しごとが全部つながっていることを意味していて、それをつなげているのが、テクノロジーだったり、データだったりになるので、スマートシティの実現に向かって、みんなで一気に突き進んで、行政サービスの質を向上し、市民生活のレベルが高くなる、そんな街にしていきたいと思っています。
用語解説
デジタル技術を社会に浸透させて生活をより良いものへと変革すること。
地域課題の解決や新たな価値の創出を目指して、ICT等の新技術やデータを有効に活用し、各分野におけるマネジメントが行われ、人々により良いサービスや生活の質を提供する都市。
AIを活用した効率的な配車により、利用者予約に対し、リアルタイムに最適配車を行うシステムのこと。
インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差のこと。
地域や自治体に対する住民の誇りや愛着、そして地域社会に貢献する意識を指す言葉。
更新情報
2024年11月1日、「インタビュアー」を更新しました。
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