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更新日:2023年6月20日
阿部合成(1910~1972)は、1923年に青森中学校に入学し、同級生の津島修治(太宰治)などと文学に熱中していましたが、中学5年のとき、急速に関心を美術に移し、京都市立絵画専門学校日本画科に進みます。
1934年、同校卒業後、青森に戻り、代用教員として野辺地小学校、次いで野辺地中学校で美術を教えます。中学校では、後に彫刻家となる小坂圭二が個人指導を受けています。この頃、油彩画に転向し、従弟の常田健とグループ「グレル家」を結成し、絵画の研究、制作に励み、1935年に上京します。
1938年、≪見送る人々≫(兵庫県立美術館蔵)が二科展に入選し、高く評価され、雑誌『国際写真画報』の口絵を飾りましたが、当時の駐アルゼンチン大使から「日本人とは思えない」と評されたことが契機となり、時流にそぐわない作家として排斥されました。
1943年、中国東北部(満州)へ出征し、戦後はシベリアに抑留されました。1947年1月に帰国し、親友太宰を訪ねた後、青森に帰郷します。シベリアでの過酷な体験や親友太宰の死などもあり、それからの作風は表現主義的な情念をむき出しにしたものとなっていきました。
1959年、アメリカに渡り、メキシコに向かいます。翌年、メキシコ国立近代美術館別館で個展を開催し、大好評を博して帰国します。1963年には、再びメキシコに渡り、翌年、メキシコ国立近代美術館別館で二度目の個展を開催し好評を得、ヨーロッパを歴遊して帰国します。
1964年、親友太宰治の文学碑の制作を依頼され、翌年、金木芦野公園の登仙岬に設置しました。この頃から、死者の世界を見つめるような作品が増え、どくろやミイラなどを表現した作品を制作しています。晩年は、木立や牛、花、梅、流木などの作品を多く残しました。
阿部合成は、若くして才能を謳われましたが、時流にそぐわないと排斥され、画壇から孤立しながらも独自な画境を追求し、苦闘し続けた生涯から「苦悩の画家」「修羅の画家」などと称されています。
1910年(明治43年) | 青森県南津軽郡浪岡村(現青森市)に生まれる。 |
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1917年(大正6年) | 父政太郎が青森市長に就任し、一家で青森に移住。 |
1923年(大正12年) | 青森県立青森中学校に入学。津島修治(太宰治)と同級生になる。 |
1925年(大正14年) | 津島修治など旧友数人で同人誌「星座」を創刊。 |
1927年(昭和2年) | 新聞社主催「文学駅伝」の第一区選手に選ばれ、紀行文を掲載。 |
1928年(昭和3年) | 同人誌「猟奇兵」の同人となる。後に高木恭造、津島修治も参加。 |
1929年(昭和4年) | 京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)日本画科に入学し、入江波光の指導を受ける。学生演劇にこる。 |
1934年(昭和9年) | 代用教員として野辺地小学校、次いで野辺地中学校で美術を教える。油彩画に転向。常田健とグループ「グレル家」を結成。 |
1935年(昭和10年) | 上京。太宰治の名で活躍し始めた津島修治と再会。 |
1936年(昭和11年) | 帝国美術学校(現武蔵野美術大学)の研究生となり、彫刻を学ぶ。 |
1938年(昭和13年) | 「見送る人々」(兵庫県立美術館蔵)を二科展に出品し、初入選。 |
1939年(昭和14年) | 「見送る人々」が日本人とは思えないと評され、時流にそぐわない作家として排斥される。以降、公募展と絶縁。 |
1943年(昭和18年) | 青森に疎開。中国東北部(満州)へ出征。出征前夜、太宰などの友人と酒を酌み交わす。 |
1945年(昭和20年) | 終戦後、シベリアへ抑留される。 |
1947年(昭和22年) | 帰還。東京で太宰治と会い、青森に帰郷。 |
1949年(昭和24年) | 明の星高校に就職し、美術を教える。 |
1952年(昭和27年) | 上京。「龍応」に改称。 |
1960年(昭和35年) | メキシコ国立近代美術館別館で個展を開催し、大好評を博す。 |
1965年(昭和40年) | 親友であった太宰治の文学碑を製作し、金木芦野公園に設置。 |
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更新情報
2023年6月20日、「略年譜(1910~1972)」を更新しました。
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