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更新日:2021年12月10日

スタッフコラム【令和3年度第7号】

揺らぐ“多様性と調和”①
~『うちの子は学校に行けないのに』~


 『他の子は、なぜ、平気で登校できるのでしょうか?』とつぶやいたのは、子どもの長期の不登校に悩むお母さんでした。無遅刻無欠席を旨とし、学業成績は1番でも高い順位を目指し、誰もが一目置く大学に入学することが絶対的価値であった親御さんにとって、我が子が学校に行かないことなど有り得ないことでした。
 普段は、なんの疑いもなく、子どもが学校に行くのは当然だと思っています。「なぜ学校に行くのだろう?」と考えることはないでしょう。心身の不調や長期欠席などの不都合なことが起こって、初めて、学校とは何だろう?現在の学校は居心地がよいのだろうか?学校で得るもの、逆に失うものは何だろうか?と考え始めます。
 学業に専念して、有名大学・企業に入っても、必ずしも将来が約束されない不確実な時代になって、子どもから「なぜ学校に行かなくちゃいけないの?」と聞かれたら何と答えるでしょうか?
 子どもにとって"家庭"と"学校"は「ストレスの温床」だとも言われます。やさしく見守り育ててくれる「ゆりかご(クレイドル)」であることは間違いありませんが、一歩間違えば、いつ地雷を踏むかもしれない「常在戦場」の場でもあります。特に、学校・家庭の人間関係は、通常は居心地が良いものの、時には、自分の存在を脅かす震源地にもなります。いじめ自殺児童虐待に象徴されます。
 当センターにも、この二つを舞台とした人間関係の不調和や対立の問題が数多く持ち込まれます。不登校・ひきこもり、いじめ、暴言・体罰、教員・スポーツ指導者との対立、不合理な校則、ジェンダー、発達障がい、自殺念慮(※1)…など実に多彩です。
 最近の報道で、昨年度は、子どもの「自殺」「不登校」が大幅に増加したと取り上げられていました。子どもの自殺も不登校も、過去最多となりました。子どもの葛藤や苛立ちが外に向かうのではなく、内向する時代になった気がします。自殺の背景にはいじめにつながっているものも多くあります。

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 心理学の授業で、対人援助職を目指す学生に「特別なニーズを持つ子どもの理解と援助について、その姿勢と留意点について述べよ。」というレポート課題を出しました。特別なニーズを持つ子とは、主に障がい児への配慮を想定していたのですが、この他にも、多彩な子どもが取り上げられていました。
 障がいのある子ども(身体障がい、広義の発達障がい、精神障がい)はもちろん、トラウマチックな被虐待児、愛着障がいの子ども、コミュニケーションや対人関係の苦手なコミュ障、海外にルーツを持つ子ども、帰国子女、うつ・摂食障がい・自殺企図(※2)など医療的ケアの必要な子ども、食物アレルギー、性的マイノリティ・性同一性障がいの子ども、宗教的配慮の必要な子ども、経済的に困窮している子ども、子育て不安・DV・親の疾患など家庭に問題のある子ども、話題のヤングケアラー(※3)…。それぞれ根深い問題を含んでいます。
 インクルーシブ教育(※4)が叫ばれ、こうした多様で個性的な子どもを、既存の学校システムの中で、「合理的な配慮」の上に、適切に教育していくことが求められています。しかし、多様な価値観の人間が交われば、様々な摩擦や衝突が起こることは止むを得ないことです。
 子ども個人の「資質」や「パーソナリティ」に原因を探す視点ではなく、学校システムの「構造」や「関係性」に焦点を当てて、当センターの事例から、その実像や今日的な課題を考えてみたいと思います。

(次回は、"多様性と調和"について考えます。)

子どもの権利擁護委員 関谷道夫

 

※1自殺念慮…自殺することについて思い巡らすこと。
※2自殺企図…実際に自殺を企てること。
※3ヤングケアラー…本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども。
※4インクルーシブ教育…人間の多様性の尊重等の強化、障がい者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加するとの目的のもと、障がいのある者とない者が共に学ぶこと。

 

問合せ

所属課室:青森市福祉部子育て支援課

青森市新町一丁目3-7 駅前庁舎2階・3階

電話番号:017-734-5320

ファックス番号:017-763-5678

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