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更新日:2021年8月10日
最近、不必要かつ不合理な校則に基づく指導が、人権や子どもの権利の観点から議論になっています。
問題とされている校則としては、例えば以下のようなものがあります。
・髪の毛が耳に1㎜でもかかっていることは許されない。
・下着の色は白でなければならず、白色の下着かどうかを教師が確認をする。
・髪の毛が茶色い生徒は黒く染めねばならない。あるいは、地毛が茶色であることの証明書を提出しなければ
ならない。
・女子生徒が髪を結う位置が指定され、ポニーテールは許されない。
・靴下、靴、髪ゴム、タイツの色は指定された色でなければならない。
日本国憲法下において、私たちは自律的な存在として自分の人生を自分で決めることができるという自己決定権が保障されています。そこで、どのような髪型を選ぶか、どのように装うかはその帰結として自由です。それは、大人だけではなく、子どもであっても変わりはありません。すなわち、子どもも権利の主体であり、子どもにも髪型や服装の自由という権利が保障されています。このことは小学校で髪型や服装に基本的に何の制限もないことから明らかでしょう。
ところが、子どもは、中学校に入学した途端、校則によって、髪型や服装の自由が制限されます。
校則の制定権について、法律の定めはありません。しかし、多くの学説は、校長の権限によって校則を定めることができると考えています。
では、校則は何のために認められるのでしょうか。
そもそも、学校は、子どもが様々なことを学び、成長発達する権利を保障するためにあります。そこで、学校は、児童生徒の安全を守ることを前提として、良好な学習環境の下で学力をつけ、その他人生を切り開いていくための基本的な力を身につけることを目的としています。
そうすると、子どもの安全を確保し、基礎的な学力など人生を切り開いていくための基本的な力を身につけるという学校の目的を達成するために、一定のルールの存在を否定することはできないでしょう。しかし、子どもが権利の主体であり、子どもにも髪型や服装の自由が保障されていることから出発するならば、校則による権利制限は、無制約ではあり得ません。校則による権利の制限は、先に述べた学校の目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内でなければなりません。学校の目的と無関係の制限は違法なものと言うべきです。
そうすると、先に述べた過度に厳しい髪型や靴下、靴、髪ゴム、下着について指定された色を強制することは、学校の目的を達成するために必要かつ合理的な範囲の制限とは言えないと考えられます。さらに、下着の色を教員がチェックするに至っては、プライバシー権の侵害と言っても良いでしょう。
続く…
子どもの権利擁護委員 沼田 徹
※続きは次回号で掲載します。
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