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更新日:2021年8月10日
では、地毛が茶色である子どもに黒く染めるように強制することをどう考えたら良いでしょうか。
人権は、個人の尊厳原理に基づいています。そして、個人の尊厳原理は、人間は一人一人、姿、形、考え方も百人百様に違うけれども、それぞれがかけがえのない大切な存在で、ありのままで最高の絶対的価値を有していると認めるものです。そこで、青森市子どもの権利条例の第7条では、この個人の尊厳原理に基づいて、子どもが自分らしく生きるために「自分の個性や他人との違いを認められ、一人の人間として尊重されること」(自分らしく生きる権利)が保障されると定めています。
しかし、地毛が茶色である子どもに黒く染めるように強制することは、「あなたはあなたのありのままではいけない」として、その子どもの個性を否定し、その尊厳を犯すことにならざるを得ません。このような強制は、明らかな人権侵害と考えられます。
では、地毛が茶色であることの証明書の提出を求めることはどうでしょうか。
証明書の提出を強制することは、やはり、「自分の個性や他人との違いを認められ、一人の人間として尊重されること」の保障との抵触が問題になります。髪の染色禁止の校則があったとしても、地毛が茶色の子どもは校則には違反していません。校則に違反している事実は学校側が立証する必要があります。そもそも、地毛証明書の提出を強制することは、生まれながらの少数派の者に多数派と異なることについての免罪符を要求するようなものです。これは、学校が多様性や個性が大切だと説いていることと矛盾していないでしょうか。金色や紫色に髪を染めることへの制約とは全く別に考えるべきではないかと思われます。
文部科学省初等中等教育局児童生徒課の令和3年6月8日付事務連絡では、「校則は、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内において定められるもの」で、校則に基づく指導は、児童生徒が、「校則を自分のものとしてとらえ、自主的に守るように指導を行っていくことが重要」であるとしています。さらに、「校則の指導が真に効果を上げるためには、その内容や必要性について児童生徒・保護者との間に共通理解を持つようにすることが重要」で、「校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければなりません。」としています。
また、「校則の見直しは、(略)、児童生徒の主体性を培う機会にもな(る)」として、校則の見直しへの取組を要請しています。
加えて、文部科学省は、令和3年7月7日、教員用手引書である「生徒指導提要」の改訂のための有識者会議を開き、初等中等局長は、プライバシーや人権に関わる校則への対処を教育委員会に求めていることを明らかにしました。また、この会議では、「ブラック校則」と呼ばれる不合理な校則の見直しの促進に関する指摘がなされました。
続く…
子どもの権利擁護委員 沼田 徹
※続きは次回号で掲載します。
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