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更新日:2019年10月25日
絵本や昔話は、子どもと親の「コミュニケーションの玉手箱」です。関谷擁護委員が、4冊の印象深い絵本を紹介するコラムの第4弾です。
仮面(ペルソナ)を外して、本当の自分の顔を出そうとしたら、いつの間にか仮面の下の顔も仮面と同じだった。ちょっと怖い話があります。日常生活でも、「そういう空気だから」「仕事だから」「役割だから」と振舞っていた仮の姿が、いつしかその人に実像になっていたということがあります。広く言えば「人は状況に流される」ということになります。
でも、逆もあるように思います。理想とする「正義の仮面」を身に付け、多少照れくさくても脱ぐことがなければそれが本物になってきます。まじめな言葉や勇気のある行動は、薄っぺらで嘘くさくて、一見野暮なような気がしますが、続けていれば、それが本当の姿になっていきます。
絵本では、ドキドキ・ワクワクする奇想天外なストーリーが展開されますが、底を流れる小さな哲学は、読み聞かせの中で子どもと共有されます。
今回紹介するのは、あまんきみこの『きつねのおきゃくさま』(サンリード)。最後の「はずかしそうにわらって」の言葉が気にかかっています。
腹ペコのキツネが、ある日、迷子のひよこに出会い、キツネはひよこを太らせてから食べてやろうと、家に連れて帰ります。せっせとひよこにご馳走を作って食べさせます。何も知らないひよこは「やさしい おにいちゃん」とほめるので、そんなことを一度も言われたことのないキツネは、ぼうっとなります。
これに、やせたあひるとうさぎが加わり、キツネは、ご馳走が増えたとほくそえんで家に連れて帰ります。三人は「かみさまみたいなおにいちゃん」とほめるので、キツネは、かみさまみたいに育てます。
そんなある日、山のオオカミが現れ、彼らに襲いかかろうとします。キツネは、自分を信頼してくれている三人のために勇敢に戦います。かみさまの仮面をかぶったキツネは、かみさまの行動をとったのです。
『そのばん。きつねは、はずかしそうにわらってしんだ。』
子どもの権利擁護委員 関谷 道夫
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